サフラン/Crocus sativus L./蕃紅花
名称:薬用サフラン
学名:Crocus sativus L.
和名:蕃紅花
分類:アヤメ科クロッカス属
原産:小アジア
◎最も高価な香辛料
まずは香辛料としてのサフランの実売価格を見てみよう。GABANのホールサフラン5gでおよそ3800円、つまり760円/g。サフランパウダーはこれよりも安くなるが、ホールサフランは600~800円/gが平均的な価格となるだろうか。雌しべのみの上質な有機サフランでは2000円/gを超えることも珍しくない。
サフランを使う料理なぞパエリアとサフランライスしか知らない、という人は多いだろう。サフランはスペイン料理や西アジア地域の料理によく使われる。料理だけでなく、お茶として日常的に飲むこともある。マグにサフラン10本を入れ、お湯を注ぐか、好みによっては昆布茶、緑茶、紅茶、ハーブティーなどに混ぜても良い。血流を強化し、冷え性、不眠症、特に月経痛など女性の不調に効果的らしい。PMSに有効であるとの報告もある。しかし毒性もあるので場合によっては医師に相談し、飲み過ぎには注意する。
市販のホールサフランを使った場合、この1杯のティーに必要な雌しべ10本はいくらに相当するのだろうか。乾燥の具合にもよるが雌しべ1本はおよそ4mgであるので、760円/gの場合、雌しべ1本で3.04円、10本では30.4円相当になる。高いような安いような……(´・ω・`) 常飲できない価格ではないが少々高価だろうか。
◎栽培しよう、倍々ゲーム
サフランの球根1つに対して花は2~4輪咲く。花1輪に雌しべが3本ある(見た目は3本だが花を慎重に分解すると根本でつながっていることが分かる)。故に球根1つから雌しべが9本ほど採れる計算になる。球根は毎年初秋頃から売りに出される。球根5つで500円もしない。また、栽培は非常に簡単であり、たまに水さえやれば無関心に放置しておいても大丈夫なくらいである。植えなくても球根をバスケットなどに入れて室内に置いておくだけでも花が咲く(花後は植えて養分を吸収させる)。花を鑑賞した上で雌しべも利用できるのでおすすめ。ちなみに雄しべは着色力が強く、食紅代わりに、あるいは染料としても使える。
サフラン 球根 10球(周球13~14cm球) |
適度に肥料を与えて栽培すると球根はまるで倍々ゲームのように増える。親球に複数の子球が付く形で増え――小さすぎる子球には1年目花はつかないが――1年で3倍から4倍になる。今年10球なら来年30球、再来年は90球である。下の写真は去年植えた球根を4月末に掘りあげたもの。もともとは3球であったが、数えると小さな球根も含め14球になっていた。今年花がつくと思われるサイズの球根は12球。実は10球植えており、葉の枯れ上がりが早かった3球だけ掘り上げてみてこの結果。残りも楽しみである。収穫後の雌しべは香辛料として保存するために加熱乾燥する必要がある。その手順などについてはまた今年の秋に。
(写っていないが球根の裏側にも子球がついている)
◎追記:イヌサフランについて
サフランの球根を購入するときは、同じクロッカス属の仲間やその他類似の植物と間違わないように注意しなければならない。特にユリ科のイヌサフランは「サフラン」という名称で販売されていることがある。イヌサフランはスパイスにならない上、毒性のコルヒチンを含んでいる。植物命名則の1つとして、「イヌ」は「役に立たない」「偽物」を意味している場合が多い。イヌサフランはいうなれば「偽物サフラン」である◟( ˘•ω•˘ )◞ サフランを探すときは「薬用サフラン」で検索しよう。
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